【スマートシティ×エンタメ】関内駅前で進行中の再開発から読み取る、新たなまちづくりとは
近年、都市や地域が抱える問題を、スマートシティ化により解決しようとする動きがみられます。 スマートシティとは、最新技術を活用しエネルギーや行政サービスなどを効率化することで、生活者の利便性や快適性を向上した持続可能な都市や地域のことです。 多くの企業がスマートシティ化に取り組む中で、生活者の住みやすさだけを求めるのではなく、「エンターテインメント」を掛け合わせることで、訪れた人にとっても楽しい街の実現に挑戦している企業があります。 本コラムでは、新たなまちづくりに挑戦する企業を、関内駅において進行している再開発事業と併せてご紹介いたします。
関内駅周辺の再開発
横浜スタジアムや横浜中華街、少し足を延ばすと、山下公園や横浜赤レンガ倉庫など数多くの観光スポットに加えて、神奈川県庁や横浜税関などにも近い関内駅。観光や政治の中心地として、たくさんの人が訪れています。
そんな関内駅周辺では、現在再開発が進行しています。
2030年前後までに高層ビルが3棟建設される予定であり、交通整備やウォーカブルな街づくりの基盤整備を行うとともに、海外企業や研究開発拠点、住宅、商業施設の誘致が進められています。
再開発一番乗りの高層ビル「BASEGATE横浜関内」
高層ビル3棟のうち、先陣を切って建設されているのが「BASEGATE横浜関内」です。
BASEGATE横浜関内は、2026年3月にオープンする大規模複合型施設です。
旧市庁舎行政棟の跡地に、三井不動産を代表とした8社が、それぞれの強みを最大限に活用し、オフィスや商業、エンターテインメント、ホテルが集結した地上33階建てのタワーを手掛けています。
コンセプトは「MINATO‐MACHI LIVE」。
新旧融合をテーマに、横浜の文化を継承しながら、次世代の横浜を象徴するエンターテインメント&イノベーションの拠点の創造をめざしています。

さらに、BASEGATE横浜関内は横浜スタジアムと隣接しており、歩行者デッキでつながる予定です。
これにより、駅周辺の回遊性が向上することで、既存の施設を含めて新たなにぎわいの誕生が期待できるでしょう。
DeNAが挑戦する新たな街づくり
単なるスマートシティではなく、エンターテインメント性を掛け合わせた街の実現を目指している企業の一つが、株式会社ディー・エヌ・エー(以下:DeNA)です。
DeNAは、ゲームやヘルスケア、ライブコミュニティなど様々な事業を展開している企業です。
その中でも、DeNAが今特に力を入れている事業が、スポーツを中心コンテンツに据えたスマートシティ事業です。
DeNAは2011年にプロ野球へ参入し、ホームである横浜スタジアムの来場者数を増やすために様々な施策に取り組んできました。
2024シーズンに初の主催試合観客動員数2,300,000人越えを達成してから、2年連続で最多動員数を記録しています。
ホームスタジアムに年間200万人を超える人々が集まるということは、その周辺地域にも、様々なビジネスチャンスが生まれます。
横浜スタジアムを中心とした賑わいを波及させて、ゆくゆくは試合が無い日にも横浜の町全体に活気を生み出すことを目標に、まちづくりを進めています。
DeNAはもともと、ゲームやアプリなどのインターネット事業を多く手がけています。
こういった事業の多くはオンライン上で行われますが、まちづくりに参画する上では、その町で暮らす人々の生活や文化、積み上げてきた歴史といった「リアリティ」を尊重することが重要です。
街をさらに魅力的にするという思いのもと、地域の人たちと手を取り合い、自らも地域の一員になって本気でのめりこんでいく姿勢で、スマートシティ分野に取り組んでいます。
このように、デジタル分野から飛び出してリアルを大切にした街づくりを志すDeNAグループは、BASEGATE横浜関内にて2つの施設の企画・運営をおこないます。
以下で1つずつご紹介いたします。
ワンダリア横浜

当施設はデジタル技術を使用した非日常的空間を通じて、生物多様性に関する学びのきっかけを提供します。
ワンダリア横浜は森林や深海などテーマの異なる6つのゾーンで構成され、来館者は各ゾーンを巡りながら普段は出会うことができない生き物や自然との遭遇を楽しみます。
「ワンダリアアプリ」を使用することで、映像に登場する生き物の情報をみることができ、生き物を見つけることで達成できるミッションを通じてゲーム感覚で施設内を探求すし、学びを深めることができます。
DeNAがこれまで培ってきたデジタル技術やエンターテインメント領域での知見を結集させた、イマ―シブ空間だということができるでしょう。
THE LIVE supported by 大和地所

THE LIVEのコンセプトは、「毎日が"LIVE"で満たされる、訪れた人々が心をひとつにする街の新しい居場所」であり、プロ野球公式戦の開催有無にかかわらず、スポーツや音楽、飲食など多彩なコンテンツを通じて関内の街に熱狂と感動を提供します。
施設は3つのフロア構成となる予定で、1階は大型ビジョンを中心としたフードホール、2階は横浜DeNAベイスターズの球団オフィシャルショップ、屋上はテラス付きのレストランが出店予定です。
大型ビジョンでは、横浜DeNAベイスターズのホームゲーム・ビジターゲームに加えて、バスケットボールやサッカー、音楽ライブなどのコンテンツも放映することで、いつでも人が集い、盛り上がる空間を目指します。
ライブビューイングというデジタル技術が、人々に興奮や熱狂というリアルな体験を提供する、これからの横浜の新たな日常をつくる象徴的な施設になることが考えられます。
まとめ
DeNAは、これまで培ったインターネット事業やスポーツ事業の経験を活用することで、スマートシティにエンターテインメント性をプラスした新たな街づくりに挑戦しています。プロ野球の試合が行われるスタジアムが近く、たくさんの人が訪れるという利点を活かし、住んでいる人から訪れた人まで全員が楽しめる街の誕生は、まちづくり事業の歴史において大きなポイントになるのではないでしょうか。
BASEGATE横浜関内は、2026年3月19日(火)にオープンを予定しています。
新たな街を是非体験しに行きましょう!
参考文献
横浜DeNAベイスターズ「2026年3月19日開業決定!横浜関内に、毎日が"LIVE"で満たされる、訪れた人々が心をひとつにする街の新しい居場所「THE LIVE」をオープン」https://www.baystars.co.jp/news/2025/09/0924_04.php(メイン画像)横浜市「関内駅前地区第一種市街地再開発事業」https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/toshin/genshichoshagaikutou/kannaiekimae.html
株式会社ディー・エヌ・エー「DeNAが考えている事 スマートシティをつくる理由」https://dena.com/jp/guide/thinking/smart-city/